グーグルがメール、予定表の社内共有サービス

Google(グーグル)が2006年11月1日に始めた企業向けのサービスは、メール、予定表などを社内外で共有できた。利用料は無料とした。ネット広告で収益を確保するというビジネスモデルだった。この後、無料モデルが成功したことを受けて、様々な企業向けソフトの無償提供に乗り出した。

従来の情報共有システムは、企業全体の文書や予定管理を重視していた。このため、社員個人としては使い勝手が悪いこともあった。しかし、競争が激しい一般消費者向けネットサービスを開発するIT・ソフトウエア業者が、企業向けサービスに参入した。それによって、ソフト導入の料金・費用が安くなった。

マイクロソフトが無料でオフィス

マイクロソフトは2006年11月15日、中小企業向けの情報支援サービス「オフィス・ライブ(Office live)」の試験提供を始めた。これは、後の「Microsoft 365(マイクロソフト365)」となるものである。

「サービスは無料、収益は広告で」という消費者向けのビジネスモデルを、企業の情報システム向けに持ち込んだ。メール、ファイル保存サーバーなどの基本コースが無料で使えた。

サイボウズ子会社

サイボウズ子会社のフィードパス(東京都文京区、津幡靖久社長)は2006年11月下旬から、Web2.0技術を活用した企業向けソフトの試験提供を始めた。インターネットイニシアティブと販売提携し、2007年から本格販売した。

メール画面から地図やIP電話

このソフトウエアは、メール画面を通じてアドレス帳や予定表が一体的に利用できるようにして、社内外で共有できるのが特徴だった。例えば「来週金曜に打ち合わせ」と書いたメールの「来週金曜」の部分にカーソル(画面の矢印)をあわせると、当日の予定表が表示され、その場で予定登録ができる。

複数のネットサービスを組み合わせて新サービスをつくり出すWeb2.0の要素技術の一つである「マッシュアップ」を活用した。メール画面から社外の地図やIP(インターネットプロトコル)電話などを簡単に利用できる。なお、フィードパスは、後にヤフーに買収された。

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CMSの「MT(ムーバブルタイプ)」で有名なシックス・アパート(東京都港区、関信浩社長)も新しいソフトを開発した。企業が社内ブログを簡単につくれるソフトを全面改良。社員1000人のブログを簡単に設定できるようにした。

これまで社内情報伝達はネット上の掲示板やメールが中心だった。社内で自由なアイデアを出して新製品を開発したり、社内の交流を深めるためにブログを活用する動きが急増していた。

カシオ計算機やファーストリテイリングが、シックス社のソフトでブログを書いた。